『住まいを慈しみ、日々を愉しむ。』アネストワンの家づくり
名古屋市名東区。とある閑静な住宅地の一画に、モデルハウス『暮らしを、愉しむ家 atorie』はあります。 こちらを手がけられたのは、株式会社アネストワン様です。2004年、新築市場が主流であった名古屋市において、いち早く中古リノベーション事業をスタート。自然素材を用いた住宅設計、造作材や金具の製作、インテリアショップの運営まで、暮らしに寄り添った家づくりを行われています。
今回、事務所横に新築されたatorieに訪問させていただき、代表の青山 信春様とクリエイティブディレクターの山下 晶子様にお話を伺いました。
暮らしを、愉しむ家 atorie
アネストワン様が掲げられている『暮らしを、つなぐ。』
このコンセプトには「本物の素材やデザインによって、時とともに味わいを増していく住まいづくりをご提案する」という意味が込められています。内装から外装、断熱材にいたるまで自然由来の素材にこだわりつくられた atorieは、まさにこの想いが体現されているのです。
‶新築の規格住宅を始めたのは、2020年のコトリノハウス*からです。それまで、「リノベの予算に近い価格帯で(アネストワンに)新築をお願いできないか」というお声を多数いただいていて。ここにどうにか応えたいと考えていた時、山下さんが家を建てたんです。訪問させてもらったら、漆喰の壁に無垢床、オーダーメイドの造作材がシンプルにまとめられている空間は居心地が良くて。この体感をカタチにしたい!と思いました。「限られた予算内で、内装に塩ビ系の素材を使わない」という僕たちが譲れないことをコトリノハウスで実現できたので、今度は性能や素材、デザインをより追求しようと生まれたのがatorie です。″(青山代表)
*コトリノハウス(URL)
木と土の、強く美しい外観
前面道路に向けて勾配した、木の屋根が美しい外観。屋根材にご採用いただいたのは『ウイルルーフ ハンドスプリット』です。防火性能を有しているため、日本では希少な「“準防火地域”での木の外観」を可能にします。また、基材のウエスタンレッドシダーは樹齢200年以上の“オールドグロス”、かつ“オールクリア100%”のものを使用。年輪の密度が非常に高く、(ハリケーンなどが発生する)米国の厳しい自然環境にも耐えうる高い耐久性と防腐性、さらには断熱性をも誇ります。
(基材を手作業でカッティングし)木の素朴な風合いを活かしているハンドスプリットは、一枚一枚、表情や形状に違いが見られるため、自然そのものの味わいを実感いただけます。屋根に急勾配をつけた設計デザインや、軒先まで精巧に施工された技術力の高さによって、ウイルルーフの特長が最大に活かされた「家を守り、魅せる屋根」が実現されています。
外壁には、九州南部に広がるシラス台地(火山から噴出したマグマが冷えて堆積し、形成された地層)の土を原料とした外装材で仕上げ、防水性・透湿性を確保されています。外壁のシックな色合いと経年によってシルバーグレーとなるウイルルーフがなじみ、さらには植栽が成長することで、建物全体がひとつの美しい景観となっていく姿を愉しむことができるのです。
“本物の心地よさ”に包まれた空間
キッチンや洗面台、収納、テレビボードといった造作材は、すべて自社でデザイン・製作されている。大きさや引き出しの数を自由にプランニングできるため、ライフスタイルに沿った空間づくりが可能。
木製の玄関ドアを開けると、漆喰の壁・天井、そして無垢床がふんだんに用いられた室内が広がります。1 階にはミャンマーチーク(リビングはヘリンボーン仕様)、2 階には北海道産ナラ(主寝室はパーケットフロア仕様)の床材をご採用いただきました。さらに、断熱材はウッドファイバーを使用。木がもつ自然の調湿性と断熱性に包まれた空間は、どこにいても心地よさを感じることができます。
米ヒバの木枠+トリプルガラス構造の木製サッシ。気密性・断熱性を確保しながら、室内の無垢床、外構のウッドデッキと調和する意匠性をも兼ね備える。
コンパクトながらも、勾配天井によって開放感をプラスしたリビング。その先に広がるのは、屋久島地杉を用いたウッドデッキです。地杉の芯材のみでつくられるデッキ材は、一般的な杉と比べて油分を多く含んでいるため、外構利用において優れた耐久性・耐候性を発揮します。また、90㎜と十分に厚みがあり頑丈であることから、お子さまの遊び場や大人数での使用にも適しています。
素材へのこだわりを随所に感じられる当建築。今回、atorieのコンセプト監修をされたクリエイティブディレクターの山下様に「家づくりでこだわられていること」について伺いました。
‶完成した家だけに目を向けるのではなく、10 年後、20 年後、その先においても素敵かどうか?を常に考えています。その点、自然のものは使い込むほどに味わいが増しますし、ともに永く過ごせるからこそ愛着が湧きますよね。使っていて気持ちがいいと思えるような、自分が本当に良いと思えるものをお客様とも共感したいと思っています。″
これまで数々の施工事例に携わり、経年する家の様子を目にしてこられた山下様。本物の素材を使い、その良さを体感されてきたからこそのお言葉だと思います。
最後に
取材終盤、「僕が一番大事にしているのは、何をするかより“誰とやるか”なんです。」と話された青山代表。仕事は家族と過ごす時間よりも長いからこそ、社員の方々には毎日楽しく働いてほしいという気持ちを心がけているといいます。
創業25周年の祝賀会で、全社員にコーヒーを淹れる青山代表。社内で陶芸イベントを開催したり、代表自ら料理を振る舞ったりするなど、社員の日々を想う姿が感じられる。
青山代表の想いが反映された「暮らし」に重きをおく家づくり。それは同時に「人=住まい手」のことを何よりも大切に考えられているのだと、今回の取材を通して感じました。創業初期から一貫したこだわりを体現しつづけるアネストワン様に、弊社商品を長年ご採用いただき大変嬉しく思います。
お話を聞かせていただいた青山代表、山下様、そして温かく出迎えていただいたアネストワンの皆様、本当にありがとうございました。atorieが味わいを増していく姿、そして今後のお取組みを楽しみにしております。
Photo:株式会社アネストワン様
Text: Yano
設計・施工
株式会社アネストワン
465-0018
愛知県名古屋市名東区八前2-713
建築情報
名称:暮らしを、愉しむ家atorie
延べ床面積:121㎡
弊社納材商品
ウイルルーフ ハンドスプリット 約24x乱巾105-300x600mm
屋久島地杉デッキ MIXグレード 38x140x4000mm
屋久島地杉デッキ 90x90x3000mm
屋久島地杉デッキ ボードラフ 18x140x3000mm
北海道産ナラフローリング 節有 15x120x乱尺(1.728㎡/束)
ミャンマーチークフローリング 15x120x乱尺(1.512㎡/束)
ミャンマーチークヘリンボーン 15x60x420mm
コシヤマ 玄関ドア スペリオル
アルス 木製サッシ
ウッドファイバー